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第87話 生徒会室での痴話喧嘩?

last update Last Updated: 2025-07-13 16:47:07

「ええ!? な、何故俺達が!?」

「嫌ですよ! 殺人鬼がうろついているかもしれないんでしょう!?」

「しかも恐ろしく強いんじゃ話になりませんって!」

生徒会室に呼び出されたマテオ、アーク、オーランドが明らかに拒否反応を示してくる。

マテオ達は1時限目の授業が終了する頃を見計らって彼らはベルナルド王子によって、招集されたのだ。

「何を言っている。ユリアの屋敷が殺人鬼に乗っ取られているかもしれないんだぞ!?」

「そうよ! 全員殺されてしまうかもしれないでしょう!?」

ベルナルド王子とテレシア王女の兄妹は物騒なことを言っている。

「だ、大体何ですか!? 王子はあれ程ユリアのことを毛嫌いしていたでしょう!? 俺だってこんな女の為に命を懸けたくはないですよ!」

アークが私を指さしながら喚く。

「何よ、私にキスをしようとしたのにそんな冷たい言い方をするの? 酷いじゃない」

品を作って上目勝ちにアークを見上げて演技する。途端に何故かアークの顔が真っ赤に染まる。

「何だって!? アーク! 貴様……ユリアにキスしようとしたのか!?」

ベルナルド王子が何故か激怒する。

「あ、あれは本当にどうかしてたんですよ! 自分でも分らないまま、勝手に身体が動いてしまったんですから! だ、第一俺だけじゃないですよ! マテオだって『好きだ、ユリア。お前のことが大好きだ』って言ってユリアの両肩を掴んでキスしようとしてたんですよ!」

アークがマテオを指さしながら喚いた。

「アーク! 余計なこと言うな!」

マテオが言い返す。

「な、何だと!? おい! マテオ! 貴様……よくも俺の婚約者に!」

マテオにつかみかかろうとするベルナルド王子にテレシアが口を挟んできた。

「何言ってるの! ユリアさんとは婚約破棄するんでしょう!? もう兄さんの物じゃないわよ!」

「「「え? 兄さん……?」」」

マテオ、アーク、ついでに1人蚊帳の外だったオーランドが驚いた様子でテレシアとベルナルド王子を交互に見る。

そうだった……彼らはベルナルド王子の腰巾着達にも関わらずテレシアが王子と腹違いの兄妹であることを知らないのだ。

「王子! 一体どういうことですか!」

「そうですよ! 俺達は2人が恋人同士だと思ってたんですよ!?」

マテオとアークはベルナルド王子の追及を免れる為? テレシアのことを問い詰めてきた。

「はぁ!? ふっざけるな
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